原発性肝臓がんと転移性肝臓がん

まずはこの病気には2種類があることを知っておいてください。原発性肝臓がんとは、肝臓に固有の細胞が癌化したものです。つまり、最初から肝臓で発生したものと言えます。一般的に肝臓がんと呼ばれているのは、原発性であることが多く見られます。

これに対して、転移性肝臓がんとは、他の臓器で発生した癌が転移して増殖しているものがあります。この場合には、悪性腫瘍が発生した場所が他にあることになり、さらに別の場所にも広がってしまっているケースもあります。大腸がんが原発となっている場合には、大腸がんの肝転移と呼ばれることもあります。

血管を介して全身の色々な臓器と肝臓は関連しているため、他の場所から広がってくることが多く見られ、特に頻度が高いのは大腸や胆のう、すい臓が原発となって転移性肝臓がんが生じることが多くなっています。

一般に、癌が転移している時には予後(治療後の経過)が悪い傾向にあるのですが、転移性肝臓がんの場合には有効な治療法がありますので、手の打ちようがない場合ばかりではありません。

原発性肝臓がんの種類

肝細胞から発生するか、胆汁の通り道である胆管の細胞から発生するかによって、原発性肝臓がんは2種類に分かれます。前者は幹細胞がん、後者は胆管がんと呼ばれています。

原発性肝臓がんのおよそ95%を占めているのが肝細胞がんであり、胆管細胞がんは割合としては小さくなっています。

ここまでをまとめると、肝臓がんには原発性と転移性があり、原発性の中でも大部分は肝細胞がんとなっているのです。したがって、肝臓がんと言われる時には、幹細胞がんのことを示しているのが一般的です。

肝臓がんの症状

初期症状と呼べるものはほとんど存在せず、体に特徴的な異常が見られないまま、進行していきます。そのため、早期のうちには自覚できるような兆候はないものとして考えた方がよいでしょう。

進行した場合であっても、肝臓がんに特有の症状はほとんどなく、肝炎や肝硬変と共通しているものが大部分です。具体的には、食欲不振や体のだるさ、腹部の膨満感、便秘や下痢、黄疸、吐血・下血、貧血、腹水、腹痛と言ったものがあります。また、わき腹に触れるとしこりの存在を感じることもあります。

腹水は肝機能の低下によってリンパ液や血管内の水分が漏れ出して腹部にたまってしまったものです。腹水がたまると、お腹が張ってきます。

黄疸は皮膚が黄色くなるイメージがもたれがちですが、白目の部分のほうが顕著に症状が現れます。黄疸も肝機能の低下に伴うもので、血液中のビリルビンという物質が増加することによって生じ、かゆみを伴うことがあります。

癌が破裂や出血したときには、突然やってくる腹痛や貧血による症状が見られることがあります。

なお、腹水や黄疸は末期の症状と表現されることもあり、相当に進行してから現れることが一般的です。したがって、これらの兆候が見られる前に発見し、治療を開始することが望ましいです。

肝臓がんの原因と肝炎ウイルス

もっとも大きなリスク要因となっているのは肝炎ウイルスへの感染です。アルコールが原因になっているイメージを持っている方も多いと思いますし、実際に危険を高める要素の一つになっているのですが、より重要なのは肝炎ウイルスなのです。

A型、B型、C型、D型、E型をはじめとして色々な種類があるのですが、肝臓がんの原因になるのはB型肝炎ウイルスとC型の2種類です。

日本においては肝細胞がんの80%はC型肝炎ウイルス、15%はB型肝炎ウイルスに関連しているとされています。世界的に見ても、B型とC型を合わせると75%に関連していると考えられています。そのため、わが国の場合には国際的な標準に比べ、より肝炎ウイルスの影響が大きいと言えます。

なお、ウイルスに感染していながら、肝炎を発症していない人をキャリアと呼びます。B型の場合には、母子感染によって出産の時にキャリアとなり、その後に肝炎を発症することが多くなっています。

C型肝炎の場合には、血液や体液から感染するもので、母親からの感染を垂直感染と呼ぶのに対し、水平感染と称されています。家系図をイメージしていただくと、親子が縦軸になっていることから理解してもらいやすいと思います。感染力は弱いものの、急性肝炎を発症すると、6割から7割ほどが慢性肝炎に移行します。

B型の場合には、肝硬変と診断されてから10年が経過した時点での発がん率はおよそ3割で、その後は上昇しません。これに対し、C型肝炎は肝硬変の診断後10年の時点でおよそ半数、それ以降も肝臓がんになる方の割合は増加傾向となっており、異なる性質を持っています。

肝炎ウイルスに感染したからといって、必ずしも癌になるわけではありません。しかし、ハイリスクであることは事実ですので、定期的に検査を行い、万が一の場合に備えることが求められます。早期発見ができれば、症状が進行する前に治療を開始することができ、良好な結果を得られることが多くなります。

なお、肝炎ウイルス以外の原因としては、過剰な飲酒や喫煙が代表的ですが、このほかに糖尿病の患者さんのリスクが高いとする研究もあります。

肝臓がんの治療と生存率

大きく分けると、手術によって患部を切り取る肝切除術、ラジオ波療法やエタノール注入を行う経皮的治療、抗がん剤を動脈に入れる肝動脈塞栓術が主なものとなります。この他にも、放射線療法や全身への化学療法が用いられることもあります。

治療を行う場合、気になるのが得られる効果です。それを知るために役立つ指標として、生存率があります。決まった期間が経過した後に、どれだけの割合の方が生きているかを表しているものです。

たとえば、5年生存率が60%という場合には、5年後に6割の方が生きており、4割が亡くなっていることになります。

肝臓がんの生存率は選択する治療法や症状の進行度を表すステージ(病期)によって異なります。そのため、早期発見をできれば、それだけステージが進行していないことになりますので、予後は良好になります。

治療にはそれぞれに長所と短所があります。肝機能や全身状態によって、手術を選択できない場合もあれば、再発の危険性についても考慮しておく必要があります。トータルで事情を考えながら、判断する必要があります。

肝臓の働き

まずはアルコールの分解を含めた代謝機能があります。栄養の分解や合成を行い、体にとって都合のよい状態に変える働きです。アルコールであれば、90%以上は肝臓によって代謝されます。それによってアセトアルデヒドに変えられ、さらに酢酸や水などになります。

消化液を作る働きもあります。胆汁を作り出す機能のことです。

有毒なものを無毒化する解毒作用もあります。食べ物や飲み物の中に有害な物質が含まれている場合には、腸で吸収されてから肝臓に送られ、無毒化して体外に排出します。

肝臓は体の中でも最大の臓器であり、横隔膜のすぐ下にあります。しゃっくりが出ているときに痙攣しているのが、この横隔膜です。三角形になっており、左葉と右葉に分けられ、右葉が大きくておよそ7割を占めています。肝細胞が3000億個以上詰まっています。健康な状態であれば、肋骨に覆われているため、体外から触れても分かりません。

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